「どこにいく?」
しばらく走って、あたしから聞いた。
なおくんは考えることもなく答える。
「オレんちでいいじゃん!」
「えぇ!?家ぇ?なんで?どっか行かないの?」
「あ、ラブホのがいい?」
あたしは急ブレーキを踏む。
と、同時になおくんの頭をグーで殴った。
「痛ぇッ!なにっ?なんでぶつのッ!?」
「意味わかんないんだけど!!!」
「?なにがッ?どの辺が?あ、なに、もしかしてエッチしないの?」
あたしは開いた口が塞がらない…、まさにそんな感じだった。
何言ってんだコイツ…。
思ってても言わないだろ!普通!!
なおくんはあたしが殴った頭を両手で押さえながら、目を丸くしてこっちを見ている。
『なんで?オレが何か悪い事言った?』
そぅ言わんばかりの顔を見たら、あたしはため息と同時に笑ってしまった。
「おぉ?なぜ笑う?オレも意味分かんないよッ?ねえッ?愛希ちゃ〜ん??」
かわいい。
そう思うとあたしの顔は微笑んでしまう。
あたしはなおくんの頭をポンポンと、軽く叩きながら言った。
「あのね、なおくん。そういうのは思っても言っちゃダメだよ?」
「?なんで?」
「なんでも!!
よし!今日はカラオケ!!行くよ!!」
「ラジャー!あ、カラオケでヤるの!?」
「やんないっつってんでしょ!!」
あたしは再びなおくんの頭を殴る。今度はさっきより軽く。
「痛いぃぃッ!また殴った!」
うそ。
痛くないくせに。
変な男…。
なんか頭をなでてあげたくなる。
そんな気持ち。

