赤い夜のサーカス



ご飯を食べて、やってきたのは巨大なテント

人がいわしの群れのように規則正しく、入口になだれ込む

男の子はぽかん、と口を広げて目を輝かせました


「すごーい…!!!」


キョロキョロと辺りを見渡して、目に入るものが全て、男の子には輝いてみえました

「お母さん!
すごいよ…!」

そう言って振り返って見れば母の姿はありません

「あ、あれ…?」


さっきまでの輝きが男の子の目から消えていきます

「あれ…お母さん?
お母さーん…!!」

いわしの群れを掻き分け、何度も何度も叫びますが、母からの返事が聞こえません