「ピエロさん…。」

男の子は不安そうに見上げます


『僕は復讐のためだけに生きてきた。
復讐が、僕の全てだった。』


なんと悲しいことか
彼はそう自嘲気味に呟きます


そしていつの間に拾ったのか、仮面をゆっくりと顔に被せて

『僕は…、私は罪を犯したのです。
君たちを、私の家族がされたように焼き殺すつもりでいました。
テントに集めて、まとめてね。
狂気に飲み込まれたこの人格ごと、私は消え去るべきなんですよ。』


足を一歩、火の方に踏み出す

『だから…その笛は、君が持っていて下さい、泣き虫の坊ちゃん。
君が私の音色に惑わされなかったわけがわかりました。』

また一歩


『君は…温かな心をもっているから。
君ならきっと、その笛を………。
…大切にしてくださいね。』