彼はその火に視線が捕われ、入口辺りに火を放って自分だけ逃げていく市長を止めることができませんでした
その火は、彼にとって憎い敵であり、恐怖でもあるからです
しかし、子供達の叫び声で彼はハッとして子供達の方を振り返りました
なんとしても、助けなければ
先程まで憎く殺そうとしていた相手でしたが、もう今となってはそれは無実とわかり、彼は人間らしい表情を浮かべます
そして腹部に埋もれたままであった、鋭いソレを一気に引き抜きました
『っ…!!!』
激痛で手が痙攣し、穴という穴から汗が吹き出します
しかし彼はなんとか意識を保って、テントの壁に歩み寄りました

