しかし、男の子は案内された部屋で眠ることはできませんでした
ステージ上でひっそりと佇んでいる彼に話しかけます
「眠れないよ…、ピエロさん。」
『おやおや、困った子ですね。
どれ、私が物語でも読んで寝かしつけてあげましょう。』
先程の無表情ではなく、彼の表情はふわりと柔らかくなっていました
そして部屋に着いて男の子がベッドに潜り込んだあと、彼はぽつり、ぽつりと語りだしました
家族を失った、一人の少年の話を
その少年は引っ越してきた途端、町の人達から泥棒扱いされ、最後には家族を失ってしまいます
男の子の目にはいつの間にか込み上げていた涙が自分の足元に落ちていきます

