町の奥深く
誰もが寄り付かないような廃屋となった土地
そこに、男の子と同じ景色を眺める者がいました
美しい朝焼けの中に、存在感を誇示するかのように黒ずみくずおれた瓦礫の山
それはその者にとって、唯一の居場所であり全てなのでした
今となっては、存在しませんが
『ただいま。』
男は男を包んでいたすべての偽りを脱ぎ捨てて、零れ出るように呟きました
その瞳からは温かな雫が
無意識に零れ出るそれを拭おうともせず、男はその場にひとときの間座り込み何かを決心したかのような表情を浮かべ、立ち上がりました
メニュー