赤い夜のサーカス




心細くなったのか、男の子はついに泣き出してしまいました

「お…お母さん…ふぇっ…。」

ぽたり、またぽたりと涙が地面に吸い込まれていきます

そして誰かが男の子にぶつかって、男の子は倒れてしまいました

「どこッ…お母さ…。」


ぬっと男の子を黒い陰が包みます

男の子が見上げると


『どうしたんですか?
泣いている坊ちゃん。』

不思議な格好をした人が風船を男の子に差し出します

「ピエロさん…?」

『いかにも。
今日は楽しいサーカスの日。
然るに君は何故泣いているのです?』


彼は男の子に風船を渡して、ピョコピョコとステップを踏みながら、尋ねます