静かに、障子を閉じた。
「…ふぅ、なんか調子狂うな。」
ため息をつきながら壁にもたれた。
部屋の中の会話が少し聞こえてくる。
『また来れば桜に会えるよねー』
『桜は今日だけ限定の遊女でありますゆえ。』
本当に今日だけでいいんだ、と思いほっと胸をなでおろした。
「おい、」
「はっ、はい。」
急に声をかけられたので声が裏がえった
「そこの部屋に入りてぇんだが…」
「えっ、あっすみません。」
私は慌てて場所をズレて障子を開けた。
「おぅ、てめぇらそろそろ帰るぞ。」
「俺らはもうちっと呑んでくぜ。」
「好きにしろ。」
そう言ってその人は部屋を出て行った。
それに続いて数人が部屋を出た。
「またどこかで会えるといいね」
「今日だけなんて残念だなー」
出て行く時にみんな声をかけて行ってくれた。

