「僕たちはね…江戸にいたんだ。」 頬の傷を手当しながら沖田さんは口を開いた。 「僕達は試衛館って言う近藤さんの道場の門弟だった。」 「平助や左之さん、新八くんは食客だったけど。」と沖田さんはあとから付け足した 「だから家族や友人はみんな江戸にいる」 沖田さんは遠くを見つめた。 江戸にいる仲間たちを懐かしむように 「…土方さんにはね唯一、愛した人がいたんだ。」 少しの間を置いてから沖田さんはまた話し出した。 ―その子はミツじゃない!!― 不意にその言葉が思い出された。 ミツ………。