Fahrenheit -華氏- Ⅱ


と言う分けで、あたしは再度大将に謝ったが大将は「逆に気ぃ悪くさせちまってすまねぇな」と苦笑い。


「いいえ、お気になさらず」


と言うやりとりをしていた隣から


「Hey!♪大将!とってもDelicious!だったわ♪I want to come back to this restaurant.(また来たいわ)」とさっきの不機嫌から一転、いつものテンションで手をあげる心音。


「おう!サンキュー、英語良く分かんねぇが、迷惑かけたからなお代は結構だ」


何か会話がかみ合ってない気がしたけれど、二人は熱い握手を交わし、何か…国境を越えた友情?みたいなものも生まれたし。


良かったの……かな?


紫利さんとあたしは顔を見合わせまた笑った。


そしてあたしと心音、紫利さんは別方向に向かうタクシーを捕まえ、


「それじゃ、啓人に宜しくね」と紫利さんは優雅に手を振ってタクシーは去って行った。


あたしたちがマンションに着くと夜も22時過ぎだった。お互いシャワーを浴び終えて、先に終えていた心音がPCの一台をあたしの方へ向けた。


「ねぇ、さっきのIT、あの三社ともHPやSNSで悪評の嵐」心音はしたり顔で「ふふん」と勝ち誇った笑顔。


確かにさっきの彼らの行動は明らかに社会的論理に反している。器物損害罪だって問えるだろう。


「このままじゃ間違いなく一か月も満たない内に倒産確実ね」


いい気味、と思う反面ちょっと気の毒にも思えてくる。


「あたしを誰だと思ってんの?敵に回したらどうなるか」心音はふんと鼻息を吐き腕と脚を組む。


改めて、心音を敵に回したくない、と思わされてあたしは軽く肩をすくめた。


けれど



心音の怒りのトリガーがあたしには未だに分からなかった。いつもなら軽くあしらったろうに。