菅井さんと飲みはじめてから、二時間と言う時間が経っていた。時間は23時近くだ。
あまり長居するつもりは無かったのに、つい話し込んでしまった。菅井さんが思いのほか良い人!だったからな。一緒に飲んでて楽しいし。
しかも飲み方がきれいだ。強い酒を結構飲んだのに一切の乱れなし。終始穏やかな雰囲気で、しかし会話は面白い。話上手だし、聞き上手だ。
裕二や綾子と飲んだら終始バカにされっぱなしだし、佐々木は早々につぶれて話どころじゃないし、桐島はマイペース過ぎて独特のペースについていけない時があるし、
そう考えたら飲み友だったら菅井さんは最高ランクだ。
あっという間に時間が過ぎ、それぞれここから交通機関で帰るわけだし、明日もあると言うことで何となくお開きになり、しかし会計時にちょっと揉めた。
菅井さんは飲み代を割り勘にしようと言い出したが、勝手に高い酒を入れたのは俺だから俺が払うと言うと、彼はそれを頑なに断った。
何かこのやりとり、以前にもあったような……
そうだ!瑠華とはじめて飲んだときだ。あれは確か……彼女の歓迎会のときだったか。
ホント、菅井さんて瑠華に似てる。(人懐っこいところ以外)
結局レジカウンターの前で互いに出した財布を引かないと言うことが五分程続き、ようやく菅井さんが引いた。
「じゃぁ次は僕が出します。出しますからね」
と念を押されて、「分かりました。そのときはお願いします」と言って俺は苦笑い。
でも、『次』が果たしてあるのだろうか。今回の飲みだって突然俺が誘ったわけだし、事情があったからで。
でも
「楽しかったです。僕の周りはあまり酒が強いヤツが少なくて、男同士……女の人が居ないときに腹を割って話せるのって、結構いいですよね」
菅井さんは爽やかに笑った。その笑顔が心からそう思ってくれているようで嬉しかった。
「いつでもお付き合いしますよ。俺も酒好きなんで」
「じゃぁ遠慮なく、お誘いしますね」
そう言って俺たちは店の前で別れた。



