Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「私からは数点アメリカ企業でピックアップさせていただきました。このエクストレドCo.など、お勧めかと。なかなか良い品揃えで、幅広い分野で手広く展開されているので、今後御社が視野を広めるときの布石になるかと思いますが、いかがですか?」


俺が用意したファイルを手渡し菅井さんはパラパラとめくって、


「なかなか良い生地を扱っていらっしゃるみたいですね」と好感触。


「最近のトレンドを取り入れた斬新なデザインもございますし、昔ながらの伝統的なインテリアや柄も扱っています。今、わたくしどもはこちらが宜しいかと思っておりますが」


「確かに幅広い年齢層の顧客獲得には向いてますね」


「他にも数点用意してございます。ターゲットを若者に絞るのであれば、こちらのブランドが宜しいかと。少し落ち着いた年齢層の方々にはこちらもオススメですが」


俺は数点のファイルを手渡して、菅井さんはそのどれもじっくりと眺めて、「どれも素晴らしいですね」となかなかの好感触。


「社に持ち帰っても宜しいですか?色々と上の者に相談もさせていただきたいのですが」


「ええ、もちろんです。ゆっくりご検討されて一番良い取引先を見つけられるよう、わたくしどもも精一杯努力させていただく所存です」


「ありがとうございます。アザールの件は本当に残念ですが、アメリカ企業にも素晴らしいデザイン会社がいくつもあるようで、ここまで探していただきましてありがとうございます」


見つけ出したのは瑠華だが、やはり女性の感性に任せて良かった。


数点の企業を紹介して、営業の話も終わりを告げようとしていた。時間にして二十分と言うところか。


瑠華のおかげで話がすんなりまとまりそうだ。


出されたお茶をほとんど飲み干したところで、商談が終わった。最後の一口をゆっくりと味わうように菅井さんはお茶を飲むと




「真咲が居なくて、正直ほっとされた……でしょう?」



菅井さんの前触れもない発言に俺は思わず目を見開いて、同じようにお茶を飲んでいた俺はその動作を止めて固まった。