Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「そうですか…」と女性社員はほんの少しだけ俯く。


「Hey,you.(ねぇ、あなた)」まだ帰っていなかった心音が女性社員を手招き。女性社員は最初自分のことを呼ばれているのか分からなかったのか、少しの間反応を見せなかったが


「あなたよ、Miss……」心音がそう続けて、女性社員はようやく顏を上げた。


「お心遣いありがとう。瑠華は言い方がキツいけど、他意はないの。瑠華はきっとあたしがあなたに意地悪なこと言うかもって思ってのことだから、気にしないで」


心音の言葉に女性社員は目をぱちぱち。いかにも今風の子犬のような可愛らしい目元だ。
まぁ心音の言うことが当たっていたから、あたしは何も言うことないけど。


「……えっと…」女性社員はちょっと戸惑ったようにあたしと心音の顔を行ったり来たり。


「Exactly.(その通り)」あたしが肩を竦めてみせると、女性社員は英語の意味を理解していないのかまたも目をまばたく。あたしは、まだちょっと戸惑いを見せている女性社員に微笑みかけた。


「大丈夫です、ありがとう」一言いうと、ようやくほっとしたようにぺこりと一礼して、給湯室の奥へと引っ込んだ。





「あんたってケイト以外にもそんな態度なのね。ま、昔からCoolだったけど。


鉄の仮面を着けてるみたいよ。もっと優しくなったら?」