Fahrenheit -華氏- Ⅱ



瑠華はちょっと迷惑そうにしていたが、それでもすぐに切り替え


「ビジネスの話ならお伺いします。ですが打ち合わせは会議室を使わせていただいても宜しいでしょうか」と俺に意見を求められ


俺はすぐにPCをスリープ状態からユーザー切り替えして、会議室利用状況を我が社独自のネットワークで管理されている会議室使用(利用)ページを立ち上げた。それは部長だけが見れるものではなく、主任以上なら誰もが見られるシステムだ。


今は……第一会議室が『使用』になっているが、第二会議室が空室になっている。午後16時に広報課が使用する予定だから、それまで利用可能だ。


「使用欄にチェック入れて置いたから、16時まで使えるよ」


と、俺の答えを最後まで聞かず


「Thank you♪じゃぁ瑠華と“打ち合わせ”に使わせていただくわ」


と、にっこり笑って、心音ちゃんは何の前触れもなく俺に軽~いハグ。


ホント一瞬だったし、アメリカではこれが普通なんだろうけど、慣れてない俺はそれだけで固まった。


今更女にハグされる、(もしくはする)ことにビビることもないが、でも俺はやっぱ瑠華がいい。


てかここオフィスだし!陰険村木や、魔王の手先二村に見られたらまた変な誤解受けそうだし。


俺は慌てて心音ちゃんから距離を取り、さりげな~く、隣の物流管理部の方を見たが、村木はおろか二村や内藤チーフと言った主要メンバーの面々はデスクに見当たらなかった。留守番係なのだろうシロアリ緑川と他の事務員の子が電話応対やメールのやりとりであくせくしている。


どっかで会議でもやってンのかな。


ま、あいつらがどこで何やろうが勝手だが。


と言うわけで俺の方は助かったわけだが


「では、行ってまいります」


瑠華はいくつかの書類を手に俺の前を颯爽と横切る。


「Bye♪See you♪」


と心音ちゃんが瑠華の後にくっついてく形になり、問題を瑠華に擦り付けてしまった形になり、


ガクリ


気落ちした。


とんでもないハリケーンが出現したわけだ。


その名も『COCONE』


きっとアメリカ大統領でさえ、防御策を見いだせないだろう。