Fahrenheit -華氏- Ⅱ


俺と瑠華は慌ててエレベーターに乗り込み、1Fロビーまで向かった。


てか何故に俺を指名!?瑠華の方がいいんじゃね?と思ったが、心音ちゃんの行動は予測不可能!


俺たち二人が現れて、二人居る受付嬢たちはあからさまにほっとしたような安堵の表情。


心音ちゃんは俺たちが到着したのを目に入れると、これまた外国のセレブや女優がするような大きめサングラスを優雅に取り払って


「Hey!I was waiting!(待ってたわよ)」


とにこやかに手を振ってきて、俺はがくりと肩を落とした。


「ココの受付嬢はお堅いわね。ケイトに会いたいって言っても、『Appointはおありですか?』の一点張りで突っ返されるところだったわ。話が通じないの。イマドキ、アポを取ってからって古くない?」


と、心音ちゃんはちょっと忌々しそうに受付嬢二人を見やる。彼女らは顏には出さなかったものの、内心ムっときているに違いない。


笑顔が引きつっていた。


「あのね、日本の大抵の企業はこんなもんよ?胡散臭い飛び込み営業なんて一々相手にしてられないの」


と俺が説明をすると


「胡散臭いですって」と心音ちゃんははっきりと表情を歪めた。


「あたしのどこが胡散臭いってのよ」


「It's all.(全部よ)」と代わりに答えてくれたのは瑠華。腕を組んで、片方の手で額を押さえている。


「Terrible.(心外だわ)」と心音ちゃんも負けじと言い返す。


まぁ??前の俺だったら普通に夜、高級バーで会ったら必ず声を掛けずにはいられない恰好だが、生憎ここは大企業だ。それ相応の格好と言うものがあるだろう。


TPOだよ、心音さん。