Fahrenheit -華氏- Ⅱ


瑠華は10分程で戻ってきた。当然シロアリも一緒で、しかしシロアリの方は今度は大人しく隣のブースに戻って行ったが。村木たち主要人物たちがまだ戻ってきてないのが幸いだ。


何を話したのか気になったが、あからさまに聞けずうずうず。


そう言えば先週、瑠華に話したい事があるとか言ってたよな。裕二のごたごたでそれどころじゃなかったし、俺が“わざわざ”出向いてやったのに二村と鉢合わせるし、で、まともに話を聞けなかった。


しかし


「緑川さんが柏木さんに何の用があったんですか?もう部署も違うのに」


ぅをお!佐々木!お前何てストレートな!


俺すら聞けなかったことなのにっ。


けれど佐々木に他意はなさそうだ。純粋に不思議そうにしている。


「資料の作り方を少し教えてさしあげました。村木部長には今更直接聞け無さそうだったので」


「だったら内藤チーフに聞けばいいだろが」と俺が面白くなさそうに腕を組むと


「チーフは会議中でお忙しい身です」


「こっちだって忙しい。柏木さんに抜けられると困る」と駄々っ子のように言うと


瑠華が「はぁ」と小さくため息をついた。てか呆れられてる??


『そんな子供みたいなこと言わないでください』と言われているようで、俺はすぐにしゅんとなる。


ついでに「あなたの教育不足です。身から出た錆です」とグサリとナイフを突きさされる。


「す、すみません」と結局俺が謝ることに。


佐々木は特別、瑠華の言葉に疑問を思ったわけではなさそうで、すぐに仕事を再開させた。




俺は―――書類のレクチャーと言うのが



嘘だ



と言うことを、何となく悟っていた。