Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「あたしが得意とするのはシューティングゲームだけど、今度は美少女育成ゲームにChallengeしようかと♪」


あ、そ。勝手にしてくれ。


と俺は若干呆れ気味。


「オンラインゲームで、オタクたちをたくさん吊るの。よりハイスペックな女の子を育成するために、顧客から金を引っ張れるわ♪」


と、まぁ彼女は彼女なりにビジネスには貪欲だってことだな。


と言うわけで約半日の観光を経て、それに振り回された瑠華は魂が漏れ気味。


よく見るとローテーブルにはビールの空き缶が数本と、赤ワインのボトルが一本置かれていて、


こんな時間に、アルコール!?


と思ったが、飲まなきゃやってられない、と瑠華の視線が物語っていた。


たった半日で瑠華をここまで消耗させるのは、流石に「破天荒」な心音ちゃんしかできないと思う。


俺、寝てて正解だったかも……と今更気づいた。


「ケイト、ねぇお腹すいちゃったわ。何か作ってよ、料理上手だと瑠華から聞いてるわ」


と、心音ちゃんはマイペース。


はいはい、作りますよ。


心音ちゃんに何を言っても無駄だと早々に諦めた俺。


結局、瑠華の家の冷蔵庫にある食材で、簡単なものだったが、天ぷらと大根と揚げの味噌汁、キノコ類の炊き込みご飯を作ってテーブルに出すと


ようやく瑠華が元気を取り戻したように、俺の料理をおいしそうに食べ始めた。


それを見てちょっと安心。


「Wow!このエビ天最高!こっちのは??」と海鮮掻き揚げを口に頬張り心音ちゃんはご満悦。


食事をしながら、心音ちゃんは飲む、飲む、飲む!!


珍しい日本酒は俺が以前、瑠華にプレゼントしたものだったが、それも一升瓶空にしてったからな。


ああ、早く明日にならないかな……


仕事してた方がまだ…いや、全然楽!