いや、悪い子ではないとは思うんだけどね。
何て言うか、瑠華が一番嫌がるタイプ……相手を振り回すタイプだ。なのに、瑠華は心音ちゃんのことを『親友』と呼ぶ。
女の友情程、
わっかんねーな……
歯を磨き終えて、アルコールが入ったことで少しだけ遠のいていた眠気が再びやってきた。
寝室に行って瑠華の隣に潜り込もうとすると、瑠華が僅かに寝返りをうった。
カーテンが開いたままになっていた窓から眠らない街、東京の夜の人工的な光が瑠華の頬を照らし出している。
白くて、まるでビスクドールのようなきめ細やかな肌が幻想的に浮き上がっている。
「瑠華」
俺はそっと彼女の名前を呼び頬を撫でた。
その手に気づいたのだろうか、ごそごそと衣擦れの音が響き、瑠華が再び寝返りを打ってこちらに体を向ける。
こちらを向いた瑠華の無防備な寝顔を眺めて、そしてその柔らかい唇にそっと口づけ。
「愛してる」
たった一言呟いた言葉が眠ったままの彼女に届いたのかどうかは謎だったが、でも
言わずにはいれなかった。
この気持ちが永遠に続くものだと思っていたし、瑠華に俺の気持ちが伝わって欲しいと願って。
「おやすみ」
再び頬にキスを落として、俺は目を閉じた。
今度は短い睡眠リズムではなく、久々に夢も見ず、ぐっすり眠れたのは
隣に瑠華が居るからだろうか。それとも、瑠華に少しでも思い悩んでいた『真咲』の存在を打ち明けられたからだろうか―――



