「慈悲深いシスターは、赤ん坊の亡骸をそのまま放置するのも心苦しくて


せめて聖母マリアさまの御許で安らかに眠らせてあげようと、してくれたわけ。


するとびっくり!



途絶えていた呼吸が吹き返ったの。


それで心音」


心音ちゃんは両手を広げてわざとオーバーリアクション。


「そう―――……だったの……


それは奇跡だね。でもごめん……俺、知らなかったとは言え不躾なこと聞いた……」


心音ちゃんが孤児だったことも、一瞬だとしても息絶えていたことも………俺なんかが軽く聞いちゃいけないことだ。


思わず俯くと





「な~んて♪


信じた?」






と、心音ちゃんは悪戯っ子のようにあかんべぇをして楽しそうに俺を見上げている。


へ!?


嘘!!!!


「ケイトって意外に信じやすいタチ?


女の涙に弱いでしょ」


指摘されて、


う゛!と詰まった。


確かに俺は女に泣かれると弱いが……


てか今まで、巧みに作り話をして同情を引こうとしていた女は決して少なくなかったが、それでもどんな女にも騙されたことがない、この俺が!!


簡単な罠(?)にかかった!!?


そんな自分がかっこ悪すぎて、そしてブラック過ぎるジョークを簡単に言ってのけた心音ちゃんに、ちょっと嫌気がさし、俺は今度こそ


「おやすみ(怒)」と短く言ってリビングを後にした。


「Good night♪」


軽やかな心音ちゃんの挨拶が聞こえてきたが、俺はそれに振り返りもしなかった。


何で―――


瑠華は心音ちゃんと友達で居るんだろう。






ホント