アルコールが入ると多少解放的になる。俺は今まで頑なだった瑠華との出会いや付き合うまでのなれそめを、心音ちゃんに質問責めにされて、とうとう口を割った。


「What!?何それ、初耳!♪」と心音ちゃんは楽しそうに声を弾ませる。「あ~ん!その賭けあたしも参加したかったわ~!」


「ま、あたしだったらユージに300$だったけどね」


300$……日本円にして約33,000円ってとこだな。


まだ会ったことすらない男に3万も賭けるってどうゆう神経。や、賭け事が好きだったら有りかもしれないが。


瑠華は反撃とばかり


「ベガスで心音は、クラップスで大損してカジノホストからVIP扱い」


「クジラと言ってほしいわね」と心音ちゃんはどこか不服そう。


クジラ……


ベガスのホテルでの隠語だ。俺も聞きかじった程度だからそれ程知ってるわけじゃないけど、ようは大金を惜しみなく賭ける客のことで彼らはハイローラーとも呼ばれる。


良く分からないがその賭け金は数百万~1000万以上使うとか何とか。


クジラは大きな口で一気にたくさんのものを食べられる、またその大きな口で一気にたくさんの息を吐く、と言う意味からその隠語が生まれたのだろう。


心音ちゃんの事業が儲かってる、って言うのは本当のようだ。


「同行したあたしはおかげ様で良い待遇が受けられたけど」


「る、瑠華も賭けを……?」


隠れた趣味??瑠華がギャンブル好きって想像ができないけど、でもでもギャンブラーでも、俺はそんなの気にしない。かく言う俺も若い頃は麻雀三昧。いくら摩ったか……


「あたしはギャンブルの類はしません。




勝てる勝負しか挑みません。


ただの付き添いです」


と、キッパリはっきり。


かっこいいぜ!と感心してる場合じゃないな。


そんなこんなで俺は結局、裕二との賭けがキッカケで、瑠華に恋をして彼女に猛アタックした結果が今だ。


心音ちゃんは俺たちのなれそめを軽蔑するどころか、どこか楽しそうに聞き入ってて、結局夜中の2時になるとアルコールのせいもあって俺の疲れは限界。瑠華だって一日俺と裕二、それから綾子に振り回されて疲れていたのだろう。


何となくお開きになって、俺は当然瑠華の寝室で彼女と二人で寝ることに。心音ちゃんは瑠華が用意したゲストルームで休むことになった。


「Goodnight」とお互い別れたのは、2時半頃だった。