Fahrenheit -華氏- Ⅱ




その後はシーフードピザと、珍しく白ワインを飲んで、


いつもより甘い果実の香りに、俺たちはほろ酔い。


……だったらいいけど、明日のことを考えるとそう酔っていられないって言うか…


心配事を抱えた脳をアルコールが酔わしてくれることはなかった。


気分転換に…てかそうじゃなくても瑠華に触れたくて、布団にもぐりこんだ瑠華の体を抱きしめて、さりげな~く…いや、かなりストレートに誘うと、


「ごめんなさい。疲れてるので」


とこちらもあっさりばっさり。


「あなたはピヨコとお喋りしててください」とぎゅっとピヨコを押し付けられてる俺。


「ピヨコは男のこですのでお間違えなく」


としっかり言い置いて、瑠華はごそごそと向こう側を向いてしまった。


え゛!向き合って眠るのもダメ!?


る、瑠華~~せめてこっち向いて~


と手を震わせるものの、瑠華がこちらを振り向いてくれる気配はなかった。


相変わらず冷たい…クスン


いいもん、いいもん!


瑠華に拒絶されることなんて今にはじまったことじゃないもん!


思って悲しくなったが、


だったら後ろから抱きしめればいいもんね。


と、こんなところで恐ろしいほどのポジティブシンキングを発揮。俺は瑠華の体を後ろからぎゅっと抱きしめた。


それでも…






「後ろばっかり向かないでよ。向き合って寝ようよ。


俺たちの関係まで一方通行になるじゃん」






とちょっと不安を漏らすと、


ごそっ


またも布団の動く音が聞こえて瑠華がゆっくりと体を振り向かせた。