Fahrenheit -華氏- Ⅱ



てかピヨコは男?


ってことはだ、瑠華は俺と違う男と毎日一緒に寝て、毎日(俺より)可愛がってるってことだよな。


そんなのイヤだ。


「ピヨコは女だ。だってついてねぇし」


と言って瑠華の前にピヨコをずいと突き出すと、瑠華はピヨコを俺から奪った。


「ピヨコを変な目で見ないでください。大体鳥と言うものは生殖器官が体内に位置してるものです。このこは男の子です」


瑠華にじろりと睨まれ、


そ、そーだったの…と俺は目をぱちぱち。


ってか俺、ピヨコの雌雄鑑別してる場合じゃねぇって。


「あのさ、明日のことだけど」


と言いかけると、瑠華は俺の前のソファに腰を掛け脚を組んだ。


シャツの裾から露になったすらりと伸びた白い脚。その先を辿るとなんてうまそうな太もも…


思わずヨダレが出そうになったが


「考えました。明日のことを」


と瑠華の方から言い出してくれて、俺は慌てて表情を引き締めた。


「心音はブリティッシュエアの4605便に乗るつもりです。成田への到着時間は明日の16時25分」


瑠華が説明をくれて、


「間に合わないじゃん」


俺はちょっと目を開いた。


「あくまで予定です。大抵遅れるので30分~1時間誤差を見ておいてください」


「30分から1時間ても、確実じゃないしどうがんばって成田に17時30には着かないって」


「心音にはしばらく空港に居てもらいます。何せ急だしこちらの都合もあるので、その辺はうまく説明します。子供じゃないし、いざとなればホテルでもとってもらえば」


と瑠華は言ったが、少し心配そうに腕を組む。