Fahrenheit -華氏- Ⅱ




俺が風呂に入ったあと、瑠華は一人で書斎みたいな部屋に篭り、ヘッドホンで音楽を鳴らしながら、


生け花をしていました。


いや、生け花って言うのはあれだな。今風で言うとフラワーアートっての??


楕円形の硝子ベースに次々と生けられる黄色い花。花のことなんて何も分からないが、生けられていく花のバランスとか色合いとかは綺麗だった。


瑠華は風呂上りの定番の格好。白いシャツ一枚に赤い淵のメガネ。


エロい……じゃなくて、俺またも放置されてる!?


俺をほったらかして、彼女は花の茎を握り真剣。


明日のことを話したいのに、瑠華は生け花に夢中でそれどころじゃないし。


「なぁ、瑠華は一人で生け花に夢中だしどうすればいいと思う?ってか寂しくね?」


とリビングのソファに座りながらピヨコに話しかけてる俺。


相当イタい……


『あたしも瑠華ちゃんにほったらかされて寂しいわ。大丈夫、ケイトくんだけじゃないわよ』


なんて腹話術をしてみる。ちょっとは気が紛れるかと思ったが…


益々イタい。


「てかこいつ女か?ピヨコだし、女だよな」


なんて疑問をブツブツ一人で口にしていると、


「男の子です。何してるんですか?」


と生け花をいつの間にか終えていた瑠華が腕を組んで、突っ立っていた。


「る、瑠華!いやこにれはわけがあって…」


と慌てていい訳する。


ってか浮気(?)って言うかあちこちで遊んでいることを女に責められてるときよりも必死な俺、どうよ。