Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「二人とも彼女できたし少しは落ち着いたかと思ったけど、また女の人の取り合いしてるの?」


桐島が呆れたように言って、俺たちを白い目で見る。


ってか俺たちが喧嘩してるイメージって“女”絡みしかないのかよ!


まぁあながち外れてはいないが。


「だけど、実際問題どうするよ」


裕二をストーカーしている女は今、一階の受付ロビーに待たせているとのこと。


席を外している、と言うことを受付嬢が伝えたが、「戻ってくるまで待ちます」


と、しぶとい。


何も知らない受付嬢とシステムの裕二の後輩が内線でやり取りをして、裕二が俺のパソコンを直していることに行き着いたってわけだ。


俺のデスクで内線を受け取った裕二は、まさに顔から血の気が失せたと言う。


「俺が出るわけには行かないだろう。ここで騒ぎを起こすわけにもいかないし」


と裕二が額を押さえ、


「俺もイヤだぜ。お前のプランに協力するとは言ったが、場が悪すぎる。


ここは俺の会社だ」


ふん、と鼻を鳴らして腕を組むと、


「そう言うなよ!頼む!!柏木さんの写真が掛かってるんだぜ!?」


がしっと両肩を握られ、俺は思わず顔をしかめた。


う゛!


痛いところをついてくるな。


「だけど俺にだって事情っつうもんがある!今ここでトラブル起こしたら村木や二村の思うツボだ!」


「うまくやりゃ大丈夫だよ」


「うまくってそう簡単に行くかっ!!じゃぁお前が行け」


「無理!!」


そんなやり取りをしていると、




「あのー…さっきから、何の話をしてるのさ」




と桐島が少し迷惑そうに顔をしかめた。