「睨まれた港支社の男の人は、びっくりしてましたが、部長がまたすぐに、にこにこ笑顔に戻ったので、その後はあまり気にしてませんでしたが…」
「俺、そんなことしたっけ??」
俺は首を捻って苦笑い。
言った本人ですら忘れてるのに、よく覚えてんなー。
なんて感心してると、綾子が探るようにまばたきをして、
「瑞野さんは何か勘違いしてると思うけど、こいつは酷いオトコなのよ~。
危険だから近づかないほうがいいわ。喋るだけで妊娠するわよ」
なんて言ってやがる。
「喋るだけで妊娠って!おい!!綾子ぉ!」
またも俺が勢い込むと、
「行きます」
と瑞野さんが、はっきりと透る声で言った。
普段声が小さめで、返事なんかも控えめなのに、俺はこんなはっきりとした意思を口にした瑞野さんをはじめて見た。
いや…秘書なんか勤められるほどなんだから、きっと元々はすごくしっかりした子なんだろう。
「ハロウィンパーティー、行きます」
瑞野さんは何か決意したかのように大きく頷き、またもはっきりと言い切った。
俺と綾子が今度は瑞野さんの言葉に顔を合わせ、綾子はそれでもすぐに、
「ほんと~??女の子が少なかったから良かったわ♪」と取り繕った。
「パーティーだもの、華がないとね、華が」
なんてちらりと俺を見る目は白くて、またも俺は
「悪かったな!俺は華になれなくて!!」といきり立った。
って言うかお前にとって華だろ!?
「俺はこう見えてもそうゆう華やかな場所に行くとモテモテなの!!」
……と思いたい…
なんてちょっと表情を緩めると、
「キモッ」
綾子が本気で腕を抱いて震え上がった。



