Fahrenheit -華氏- Ⅱ



―――トラブルメーカー二村とシロアリ緑川と、マドレーヌ瑞野さんの関係を話し聞かせると、綾子も当然知らなかったのだろう、


最初は疑わしそうに目を細めていたが、だんだんと大きく開いていった。


「それ…本当……?」


息苦しそうに…だけどそれとは反対に綾子が口元を覆って、不安げに俺を見上げる。


「まだ確信はない。だけど二村が何を企んでるのか知らないけれど、あいつには裏がありそうだ。


親父が退陣に追いやられたら、お前だって地位が危ういぜ」


綾子は額に手を当てて、それでもすぐに状況を理解したのか、


「で、あんたは瑞野さんに探りを入れにきたってわけ?」


と、冷静な視線で俺を見てきた。


「そゆうこと。ハロウィンパーティーには、もう緑川と二村を誘ってある。あとは瑞野さんだけだ」


「だけど来るかしら。その関係図からすると緑川さんと瑞野さんは仲がよろしくないんでしょう?」


「そこを何とか誘ってくれよ。誘うのは俺だけど、お前のバックアップがあれば、瑞野さんも安心できるだろ?」


「そんな簡単にいくかしら。何とかと秋の空は誰にも分からないって言うじゃない」


と、綾子は若干尻込みしている。


そのときだった。


「木下リーダー、中央銀行さんからファックス届きましたよ。お待ちになられてましたよね」


と、何の前触れもなく瑞野さんがひょっこり顔を出した。




ドッキーン!!




何てタイムリー!


映画“マスク”じゃないが、俺の胸から心臓が飛び出る思いをした。