Fahrenheit -華氏- Ⅱ




それはいつか夢の中で聞いた台詞だった。


でも、あの声は瑞野さんじゃなかった……


あれは瑠華だった―――筈…………





ホントニソウナノカ?



俺ハトンデモナイ間違イヲ犯シタノデハナイカ






『四角関係です。瑞野さんが好きな人も―――社内の人だって二村くんから聞きました』




ふいに頭の中をシロアリ緑川の声がよぎる。


音のない文字だけが、頭の中をすり抜けて、だけど俺の脳裏をひたすらにその言葉が満たす。






まさか―――…


―――嘘…だろ……






「嘘だと言ってよジョー…」


思わず口に出てしまって、


「またそのネタかよ、古いっつうの」


なんてすぐ後ろで今度は裕二の声が聞こえた。


今更、俺の夢に誰が出てこようが驚きはしないが、


何よ、この豪華キャストは!?オールスターかっつうの!!