Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「い、いや!それはぐーぜんに見たわけで!!」


「でも何でそんなとこ見るんですか」


と瑠華が目を吊り上げている。


「や。本当に目に入っただけだから。大体首なんて誰だって見るだろ?」


と俺の方があたふた。


俺たちが今喧嘩してる場合じゃないって!!


慌てて緑川の方を目配せすると、緑川はあからさまに顔色を悪くして俯いていた。


「………それ…二村くんだ…」


「…は?何でそーなる。二村が?って言い出しのは確かに俺だけど、瑞野さんには好きなヤツが別に居るんだろ?」


「…そうだけど…その人とは付き合ってないって言ってたし…二村くんも瑞野さんも二人が付き合ったことはないらしいけど…」


「まぁそうだよな~。付き合って無くても、男はデキるし」俺が言うと、またもギロリと瑠華が冷たい視線。


あの…瑠華ちゃん?一応言っておきますけど、俺たちだって最初寝たときは付き合ってなかったですよね??


しかもあのとき、「あたしを好きにならないで下さい」とも言いましたよね。


なんて思っていると、


「状況が違います。緑川さんと言う彼女が居ながらそういうことに及ぶこと自体が間違っています」


と俺の考えを読んでいるのか、瑠華が冷たく言い放った。


まったく…おっしゃるとーりでございます。


「でも、それはお相手が二村さんだと何故言い切れるのですか?違う方かもしれないし」


と瑠華が慰めるように緑川を見る。





「……間違いないです。だって…二人は今も関係してるから…」





はぁーーー!?