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「何ぃ!?男が好きなフリだとぅ!?」
裕二は目を丸めて、ぱくぱくと口を開いた。
「しっ!声がでけぇよ!」慌てて裕二を睨むと、裕二も両手で口を覆い口を噤んだ。
「これだったら女は一発でドン引き。ついでにその場に誰か居りゃ確実なんだがな」
「誰かって…恋人(男)って言う設定のヤツ?」
「まぁ俺の場合は居なかったけど、信用に値する出来事があったからな」
「…なんだよ、信用に値するって…その技を教えろよ。そっちの方がいい」
「…………」
俺は腕を組んで無言で裕二を見据えた。
―――言えるわけないだろ!!
女にアソコを握られても反応しなかったって!
※Fahrenheit -華氏- 参照
あのとき一瞬自分は不能なんじゃないかと疑っちまったが、大丈夫だった。
こいつにその技が通じるかどうか…って言うか対、シロアリ緑川だったから通じたわけであって、
裕二をストーカーしてる女がそこまで大胆な行動に出るかと聞かれれば、首を捻る。
「とにかくその技は危険だ。と言うわけで、誰か野郎に頼み込むんだな」
他人事のように言って、俺は茶を啜った。
冷めてもさすが高級中国茶。旨い。
解決に向かっていることで幾分余裕が出てきたのかもしれない。味をしっかりと舌で感じることができた。
さて、こっちは片付きそうだ。問題は瑠華―――……ちょっと寝室に目をやっていると、
「迷惑ついでに頼まれてくれないか?」
裕二の言葉に、俺は飲んでいたお茶を吹き出した。



