「ったく。何だって言うんだよ。こんな時間に」


不機嫌を隠さずに俺は裕二をリビングに通した。


「悪い。わけは話すと長くなるんだが…」


「手短に頼むね。俺はもう寝るところなの!」


俺が裕二を睨むと、


ガチャッ


寝室のドアが開いて、瑠華が顔を出した。


「麻野さんお茶でいいですか?コーヒーはこの時間良くないし」


さっきまで俺のワイシャツだけを羽織っている格好だったが、流石に着替え用に置いてあった彼女のジーンズも履いている。


裕二がびっくりして目をまばたかせながら俺を見た。


俺は軽く肩をすくめ、


「そうゆうことだ。話したら早く帰れ」


と腕を組んだが、裕二は俺の言葉を無視して瑠華に笑顔を向けている。


「柏木さん、すっぴんも可愛いね♪」


俺は慌てて瑠華の前に回りこむと、瑠華を裕二から隠すように彼女の前に立ちはだかった。


「お前帰れ!」


すると裕二は床に両手をつきながら、


「頼む!!マジで怖いんだ!」


と頭を下げた。


俺と瑠華は裕二の必死な形相と行動にびっくりして顔を見合わせつつも、少しだけため息を吐いた。