「誰ですか?」と瑠華が心配そうに顔を曇らせて寝室から出てきた。
「いや、何でもない。ただの悪戯だ」
なんて答えたが、
ピンポーン
またもインターホンが鳴り、額に青筋を浮かべながら俺はもう一度受話器を取り上げた。
「何だよ、こんな遅くに。俺はもう寝るとこなの!」愛しい瑠華ちゃんとな!
嫌がらせなら今日だけは勘弁してくれよ!
なんて心の中で怒鳴っていると、
『啓人くぅん♪今日泊めて?♪』とにこにこ…ちょっと笑顔が引きつっているが申し訳なさそうに裕二は顔の前で手を合わせた。
「はぁ!?イヤに決まってンだろ。お前は自分の巣に帰れっ」
そう怒っていると、背後から瑠華がモニターを覗き込んできた。
『頼む!!今日だけでいいんだ!マジでお願い!!』
裕二が切羽詰ったように拝む仕草をし、ぎゅっと目を閉じている。
「何か理由があるんじゃないでしょうか。少し話を聞いてみては?」と、
慈悲深い瑠華…
おいっ裕二!!瑠華に感謝しろよ!
俺は苛々しながらも大またで玄関に向かった。



