いやいやいや…


彼女に踏みつけられてドキドキしてる俺って、変態道まっしぐらじゃねぇか―――!!


なんて枕に顔を押し付けてるときだった。


ピンポーン…


インターホンが鳴って、俺は顔を上げた。


頭上で瑠華も怪訝そうにして、俺の背中から降りた。


「誰だ?」小さく唸りながら体を起き上がらせると、


ピンポーン


またもインターホンが鳴り響いた。


俺と瑠華が顔を見合わせて、二人同じタイミングで枕元に置いてあるデジタル時計に視線をやる。


時間は夜の12時間近だ。


ピンポーン


インターホンは鳴り続ける。


一瞬真咲かと思った。ぎくりとしてマッサージしてもらったばかりの背中が強張ったが、よく考えればあいつはこの家を知らない。


誰かに聞いたと言えばそれで納得だが、そもそもこの住所を知る者は少ない。


「ったく!何だってんだよ。こんな時間に!」


苛々した面持ちで立ち上がると、俺は乱暴にインターホンの受話器を取り上げた。


「はい」


不機嫌そうに出ると、モニターに見知った顔が映った。


『あ、啓人~??お・れ♪』


能天気な裕二の声に、俺は無言で受話器を降ろした。