Fahrenheit -華氏- Ⅱ



だがしかし!


メカジキのムニエルを口に運びながら、緑川は喋る、喋る!


彼とどこどこ行ったとか、どこの夜景を見に行ったとか、夜長電話をしたとか、


ノロケばっか。


ま、いいけどね。


「部長たちはどこでデートするんですかぁ?」


そう聞かれて、メカジキをナイフで切り分けていた俺の手が止まった。


「どこ?う゛~~ん…まぁお互いの部屋とか、あとは……」


最近忙しかったから、そんな遠出はしていない。


「お部屋でまったりデートですかぁ。いいなぁ。」なんて緑川が頬を緩ませる。


まったり…ってこともないけどな。


休みの日彼女とゆっくり寝ようと思っていたら、瑠華は嫌がらせのごとく掃除機をかけ始めるし、(しかも何だかすっごく楽しそうだし!)


普段買い物が出来ないから、買出しに付き合わされたり。


ムードもへったくれもねぇ!


なんて話すと、緑川は声をあげて笑った。


「柏木補佐らしい。でもスーパーに買い物デートって!所帯じみてますね」


「うるせ。勝手に言ってろ」


俺は半目で緑川を睨んだが、スーパーで買い物デート……


これが結構楽しかったりするんだよなぁ♪