僕と翔太

「ショウタ! ショウタ!」


 翼は何度も何度も叫んだ。

雨の中、声が枯れても叫び続けた。


(とおくまできた、
おやまをのぼれば、
たんぽぽ、あるかもしれない)


 ショウタが真っ暗な山の脇道を歩いていたとき、
山道の脇の斜面に一輪のタンポポが咲いていた。


 ショウタはそのタンポポに近づいた瞬間、
身体のバランスを崩し前足を滑らせ、
山の斜面から転がり落ちた。