ショウタは、いつもそんな翼に蒲団をかけてあげた。


 翼と彼女との仲がもう修復できなくなったとき、
彼女から一本の電話があった。


「もう一度、翼と会って話がしたい。
だから、私達が初めて出会ったあの場所に……」


 電話口から漏れる彼女の涙声で、
翼は辛い別れを決心した。


 雨がピシャピシャと降る町の雑踏の中、
傘を差した二人は言葉もなく、
ただ、黙って立っているだけだった。