愛を教えて。

誰か呼ばなくては…。


カバンから携帯を取り出すが、アドレス帳には“家族”のアドレスと“友人”数名のアドレスしかない。


分かりきっていたこと、慌てすぎで自分の立場を忘れていた。


助けを求めたくても、私には誰一人いない。


唯一頼りの兄も海外で仕事中。


仕方なく、私は携帯をカバンに戻し、暗いリビングへ戻った。


広いリビングの隅に膝を抱えるようにして、座り込む。


俗に言う体育座りだ。



隣に拾った服を丁寧にたたんで置く。

私は膝の上に手を組むとその上に頭をのせて、目を閉じた。


朝から何も食べてないというのに、お腹はすいていない。


私は、夜の闇に包まれたような暗い部屋の隅でこうするのが好きだ。



徐々に寝室にいる「変質者」のことを忘れて、そのまま流されるように眠ることにした。