愛を教えて。

糸井エリナは口をパクパクさせて、倒された状態から、桐生響を見上げる。


私も糸井ほどではないけれど、いつものへらへらした表情とは違った彼の顔に唖然としていた。



「綾音ちゃん、こいつほんとに友達?」





そのままの表情で、桐生響は私に問う。



私は発作的に顔を横に振り、倒れたままで茫然自失している彼女に目をやった。


前、彼と会った時のように、彼の問いを安易にあしらうことはできなかった。



彼の声と表情が、その時とは全く違っていたから。




どっちが本当の彼なのだろう。
まぁ、それを知ったとして、私の彼に対する気持ちに変わりはないけれど。



しばし、沈黙。


桐生響は、じっと私を見つめたまま静止している。
本当に彼は意味がわからない。


「……なに、これ」