エレベーターに乗り、自分の部屋がある最上階のボタンを押した。


「ふぅ」



やっとここで、私の緊張の糸がすぅっと緩む。


エレベーターの背面にある鏡に映る自分の顔。


泣きすぎたせいか目は充血していて、ひどく情けない顔をしている。

ぼさぼさの髪を整えようと頭に手をのばしたところで、エレベーターは最上階に止まった。



カバンの底板をはがして、隠していた鍵を取り出す。



数メートルある廊下を歩き、自分の家の扉の前までくると、鍵を差し込み、重い扉をゆっくりと開いた。