愛を教えて。

振り返ってみると、隣のクラスの委員長、野川恭一郎君の姿があった。

彼は、よく私が一人でいるときに、挨拶とか当たり障りのない話で声をかけてくる。
人一倍気を使っているような人間と、私は解釈していた。



「顔真っ青だけど、体調でもわるいのかな」


「だいじょうぶ」



「本当に?」


私のクラス、ううん。ほかのクラスの人たちも私に冷たいのに、どうして彼は優しく、ほかの人と変わらないように接してくれるんだろう。


私を気遣う野川君を不思議に思う。


「じゃ、俺、職員室に用事あるから。気分悪くなったら保健室ちゃんと行きなよ」



「うん」



彼は、笑顔で私に手を振ると、去って行った。


嫌われ者の私と関わったっていいことなんか一つもないのに。

私にかかわろうとするなんて、変な人。


……変といえば、昨日の彼もだけれど。