愛を教えて。

「ごちそうさまでした」

カレーを食べ始めた時と同様に、合掌する桐生響。


「さ、出てって」


「嫌だ、ヤダヤダヤダー」


おもちゃを買ってもらえないような子供のようにごねる彼を、一瞥すると、ため息が自然とでた。


いい加減にしてほしい。


もう一度彼に視線を向けると、子犬のような目でこちらを見ていた。


私より年上のくせに。




まぁ、二歳しか変わらないけど。



カレーを食べたら出て行くって約束はいったいどこにいったんだろう。


「もういい」



こういう意味不明な人間と関わりあうのは、もううんざり。




ちょっと面倒くさいけれど、あの人に電話して、新しい家を用意してもらおう。




「ここは、もうあなたの好きに使って構わない」




「え?」




「あなたが出ていかないなら、私が出ていく」