愛を教えて。

浴室に入ると、ほのかにシャンプ ーの香りがした。

床も水滴が落ちている。

あの男、勝手に風呂まで入ったら しい。





つくづく分からない。




シャワーのレバーをキュっと回し て、すこしぬるめのお湯を浴びる 。

私は目を閉じて、温水が汗を流し ていく心地よさに身をゆだねた。


キュキュッとレバーを戻し、脱衣 所からバスタオルを取ると、体を 拭く。

さっぱりとしたけれど、心の中ま ですっきりはしない。




部屋着をしまっている引出しをあ けて、Tシャツと短パンを身に付 けた。

……べつに、あの男のためにおし ゃれする意味などない。