H23年1月15(土)
昨日で大阪での仕事は終わったので、今日は片付けをしながら今まで送られて来た手紙を読み返している。琴美が運動会でリレーの クラス代表になった事、
琴美が習い事を始めた事、離れていても手紙のおかげで家族を身近に感じられたどの手紙も懐かしい。
確か最初に送って貰ったのは琴美の好きな
ウサギの便せんだった気がする。
俺は片付けを再開した。
しばらく片付けをしていると誰か来た。
宅急便だ。
今日の指定日の小包だ。
贈り主は…美奈子達か。
中身はビデオテープ。
(俺の部屋にはビデオデッキしかない。)
明日には帰るのに、
どうしたのだろうか?
一度片付けを中断し、
ビデオテープをデッキに入れる。
ビデオ「ジジジ…」
俺の家の中が映った。
俺「帰って来るの待ってます。とかかな?」
ビデオ「ジジジ…」
家の中のいろんな場所が
映る。
しかし、二人が出てこない俺「なんだこれ?」
家の中をただ映しているだけのようだ。
そして、いろいろな部屋を映していき、
残るは俺と妻が使う寝室と琴美の部屋だ。
カメラが寝室に行く。
何かおかしい。
カメラが寝室に入り、
俺のベッドを映す。
そして美奈子のベッドを映した。
それを見て俺は言葉を失った。
ベッドには美奈子が腹から血を流して倒れていた。
明らかに死んでいる。
この美奈子の姿を見た時は美奈子の心配で頭がいっぱいだったが、
もうひとつ心配な事があった。
「琴美…。」
そう思っているとカメラは寝室を出た。
そして、琴美の部屋に向かう。
カメラが琴美の部屋に入るすると、琴美がいた。
いや、正確には琴美は首を絞められて、天井から吊されていた。
俺は吐きそうになった。
何なんだこのビデオは。
誰が撮っているんだ。
すると、カメラに撮っている奴が映った。
男だ。
画面が暗くなった。
俺はビデオを止めて
もう一度、男の顔を
確認した。
見た事がない。
俺は、あることに気づいたビデオの撮られた日付だ
俺「H20年1月6日…。」
俺が大阪に向かった次の日だ。
じゃあ俺は3年間誰と文通していたのだ。
すると一度暗くなったビデオが点いた。
そこにはウサギの便せんを持った男が映っていた。