仕方ない。イスを使おう。
そう思って、後ろを向いた。

「うわっ」
目の前に、懐がいた。
いつからいたの?

「びっくりしたぁ」
「それはこっちのセリフだよ!」
わたしは自然に言い返していた。

それを見て、懐が笑っている。


「淑乃先生は?」
懐が、保健室を見回していった。
「用事」
わたしは、ぶっきらぼうに答えた。


なぜか、懐とは普通にしゃべれた。
気に喰わないやつだけど、もう怖くなかった。