「これ、誰?」

これって言うな!と脳内つっこみをいれた。

淑乃先生は、バツが悪そうに黙っていた。


「おい。神様にもらった大事な口があるんだから、なんか言えよ」

あっ。こいつは、わたしに訊いたのか。

声、出るかな……?一瞬心配になったけど、わたしは自然に名前を口にしていた。

「佐々木ちはる」
意外としっかりした声が出せた。

「ああ。あの、ずっと休んでる!おれの隣じゃん」


あとで知ったけど、教室には一応わたしの机があって、こいつの隣だった。
そして、こいつの名前は松井懐(まつい かい)。


こうして、わたしたちは出会った。