それは懐の声だった。

近づいてよく見てみると、さっきまでフェンスをのぼっていた人はまったく知らない人だった。

汗をかきながら、安堵の表情をみせているのは懐だ。


「あ。ちはるじゃん」
「うう……」
わたしは唸ることしかできなかった。