慣れないことはするもんじゃない。


わたしはその場に凍りついてしまった。

屋上に出てすぐ、視界ににはいってきたのはまぶしい太陽でも、目の覚めるような青空でもなく、誰かの後ろ姿だった。

フェンスをよじ登っている、錆びたフェンスはいまにも壊れそうだ。

黒いシルエットからして、男子だ。


――懐っ!!

すぐに懐に結びついた。

でも、何もできない。
気持ちだけが焦って、足が動かない。

どうしよう……!