がたん、と音がして、私は振り向き驚いた。 箪笥だ。 壊れた扉はぎいぃと鳴り、中から『彼女』の片腕がするりとこぼれ出た。 それは月の光にてらされて、人魚のように艶めかしく横たわる。 私は急いで『彼女』をしまいにかかった。 はやく。恐怖に潰される前に。私の涙が出る前に。 片方だけネジの緩くなった扉はなかなか閉まらない。私はパニックに襲われながら、それを持ち上げ力任せに押し込んだ。