『…楽しいですよ?でもこれとは別の話。先生ズルイ。私の夢知ってるクセに。』



『ハハハ、そうだったな。』



いつか絶対叶えてみせる。



パティシエールとしてお店を出すこと。



積み重ねてきた実績を自分の手で
世に広めていくの。



楽しいよ。
絶対楽しい!!



食べた人を必ず幸せに浸す。
それが私のモットーであり、プライド。



そのための努力と知識に関しては
どれだけ時間を費やしてもいい。



『先生には感謝してるよ。でも未来の私は、黒板の前でチョーク持ってる私じゃなくて、コックコート着てデコレーションしてんの。』



それだけは譲れないんだ。
ゴメンね、先生。



大きく頷いて、読んでた新聞を畳んだ。



『わかってる。短い期間だが全力で取り組んでくれてる姿は見ていて微笑ましかったんだ。これからもよろしく頼むよ。長瀬先生のうちはな。』



『はい。頑張ります。』



『あ、それとこれは長瀬だから言っておくが、くれぐれも生徒と恋仲だけにはならんようにな。えらく人気あるから一応、忠告だ。』



『なっ!わ、わかってますよ!んなことあるわけないじゃないですか。』



きゅ、急に何言い出すかと思いきや…。



ないない。
ありえないっ…!!



第一、年下ムリだし!!



『ハッハッハ!!』ってバカ笑いしてる
場合じゃないよ!!先生!!



いや、マジありえないから。