茜の空




私は歩きながら、霧島くんに道を案内
する。



ていうか、今、普通に“友香ちゃん”って
言ったよね?



言ったよねっ!?



『そっか~!でも来てくれて嬉しかった。それに、名前も覚えててくれて。』



『そりゃ覚えるよ。初日は遅刻だし、ぶつかるし、学生証落とすし?』



霧島くんは顔をしかめながら
『ゴメンナサイ』と謝る。



なんか意外。
霧島くんてちょっと強面なのかなと
勝手に想像してたけど



笑ったり、シュンとしたり、
やっぱり等身大の18歳なんだなって。



彼の背中で気持ちよさげに眠る朋美には
軽い殺意が芽生えてるけど、
何だろう?なんか、心地いい。



うまく説明できないんだけど…
あ、そうだ。うん、多分、絶対。



霧島くんのふとした時の笑顔が
あったかいからだ。



見事なギャップでびっくりなのに、
自然と笑う仕草はあったかい。



キリッとした表情が一瞬で
屈託のない笑顔に変わる。



火照った体が夜風にあたるせいか、
そんな些細なことでも
妙に心地よさを感じていた。