茜の空




『校長も長瀬のことは気に入ってらっしゃる。生徒にも絶大な人気を持ってることだしな。で、そこでだな、お前さえよければ期間を延長しないか?それとも…本物の教師にでもなるか!?』



そんな類いの話だろうとは予測していた。



『延長は…しません。実は……また、留学を考えています。やっぱり私、挑戦したいんです。少しでも可能性があるなら賭けてみたい。教師してて改めて思ったんです。』



コーヒーを一口飲んだ萩原は二度頷いた。



『そうか。残念だな。』



『先生には感謝してます。教師出来たこと、大きな自信になったし。卒業してからもまたお世話になっちゃった。』



『ハハハ!気にするな。卒業したって生徒に変わりはないんだ。まぁ、お前のその顔を見ると、相当本気だってことがわかるよ。初めてこの俺にパティシエになるって言った時と同じ顔だ。』



どんな顔してんのよ、私(笑)。
でもそんなこと言われるとくすぐったい。



『校長には俺から言っておく。留学日が決まったら教えてくれ。』



『はい。』



深々と頭を下げて、ガラッとドアを
開けた時、私の体は硬直した。